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sugar’s diary

主に食べてばかりの日々と旅の記録

ヨーロッパ旅行10日目 ドイツ編①パリからケルンへ移動

パリ最終日の朝。目覚ましに起こされ6時に目が覚めました。カーテンを開けると外は真っ暗。通りに止めてある車は真っ白。一晩で雨が雪に変わっていました。どおりで寒いわけです。

次の目的地、ケルンへはThalysで向かいます。Paris-Nord駅を8時に出発する列車を予約していたので、余裕を持って6時45分にホテルを出ました。外はまだ夜です。トロントの冬も、8時くらいまで暗くて朝が辛かったなあと思いながら撮ったホテル前の道は路駐でいっぱいでした。

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車道の雪はほとんど溶けていましたが、歩道はまだ人が通っていないのでうっすらと積もっています。これが歩きにくいこと!私一人だったらこのくらいの雪どうってことないけど、雪のせいでスーツケースの車輪が言うことを聞いてくれなくて思うように進みません。このとき、初めてバックパックにしなかった自分の選択を悔やむとともに、全編雪景色となるであろうドイツでの移動を想像して悪寒が走りました。

スーツケースをほぼ引きずるようにして最寄りのBastille駅に着くと、さらなる難題が。Bastille駅はいくつか出入口があるのですが、ホテルから一番近い改札に繋がる出入口には階段しかありません。それも大江戸線ばりの急こう配かつ長い階段で、途中でカーブしています。段取り屋の私としたことが、どこにでもエレベーターがあるつもりでいて事前に調べていませんでした。まさに崖っぷち。エレベーターのある出入口に向かうことも考えましたが、また言うことを聞かないスーツケースを引きずるのかと思うと億劫で、覚悟を決め、お土産で重たくなったスーツケースを抱きかかえて一歩ずつ、雨と雪で濡れた階段に足を滑らせないように慎重に下りて行きました。踊り場の度に休憩をし、なんとか無事に改札前にたどり着いたときには全身汗でびっしょり。冷や汗なのか暑いからなのか...たぶん両方でしょう。

結果オーライ、これからこれから!と自分に言い聞かせ、無理やり前向きな気持ちを醸成して券売機の前に立つと、またしても問題が。券売機で英語を選択すると「ただいまお札が使えません」と表示されたので、クレジットカードを挿入するも即リターン。もう一度挿入、即リターン。三度目の正直!即リターン。キャッチ&リリースのキレが半端ない。なんならキャッチの途中でリリースしてくる。小銭は足りないし、窓口は閉まってるし、早朝だから駅の利用客もいない。いるのは私と雨宿りしているホームレスのおじさんだけ。カードが使えないとなると私はここから改札に入れない。改札に入れないとなると、真冬にもかかわらず汗だくで下りてきたあのデスステップをスーツケース抱えて上らなきゃいけない。最悪だ。悪夢だ。全部雪のせいだ(©JRスキースキー)。

仕方がない、戻るしかない、と階段に向かおうとしたとき、中年のおじさまが階段から降りてきました。神様仏様おじさま!藁にもすがる思いでおじさまに声をかけます。「すみません、5ユーロ札を両替していただけますか?」するとおじさまはポケットから小銭を取り出し数え始めました。「1、1.5、2、2.2...ごめん、5ユーロ分はないみたい...」申し訳なさそうなおじさま。今思えば、2ユーロあればチケット1枚買えるので、5ユーロ札と交換してもらえば良かったのですが、この時は頭が回りませんでした。それよりも、急に呼びとめた見ず知らずの私のために、通勤途中(だと思う)にもかかわらず、足を止めてくれたおじさまの優しさに感謝と申し訳ない気持ちでいっぱいになり、人に頼っちゃだめだ、自分でなんとかしなければと思ったのです。「大丈夫です、ありがとうございました」とお礼を言って、今度こそ覚悟を決めて階段の方へ向きを変えました。

すると、階段の下に座って一部始終を見ていたホームレスのおじさんが、私に「チケット、チケット、5ユーロ、3チケット」と声をかけてきました。手にはチケットが何枚も握られています。この怪しすぎる売り込みを理解するのにそう時間はいりませんでした。というのも、パリの地下鉄は改札を入る時にはチケットを通しますが、出るときは不要なので、出口付近に使用済みのチケットがたくさんポイ捨てされているのを毎日のように目にしていたからです。このおじさんが私に売ろうとしているチケットは、その辺に捨てられていたものだろうことは容易に想像できました。騙されるもんか!首を横に振りながら「ノン」と断り、再度階段に向き直します。

私の「ノン」の直後、背後から「君、チケットが欲しかったの?」と先ほどのおじさま。「はい」と答えると、「チケットならあるよ、1枚でいい?」とお財布から1枚抜き出し、私に差し出してくれました。「でも、私、小銭を持っていなくて...。あ、5ユーロ払います」とお札を渡そうとすると、手で遮りながら「いいよいいよ、心配しないで」と言って私の掌にチケットを置き、颯爽と改札へ入っていきました。お、おじさま!なんというジェントルマンなんでしょう!「Thank you SO much! Merci! Merci beaucooouuuupp!」と半ば叫びながら頭をさげる私に、照れながら手を上げて歩いていくおじさまの背中は、目から出た汗のせいでぼやけて見えました。感謝の言葉がありません。神様仏様おじさま...涙

感動している私と対照的に、やさぐれた表情を見せるホームレスのおじさんの視線を感じつつ、無事に改札を通過し、目的地のGare du Nord(Paris-Nord)駅へ向かうべく5号線に乗りました。暖房の効いた車内で汗が止まりません。お水を一気飲みし、こんなハプニングも一人旅の醍醐味だよね、とやや心に余裕が出てきたところで、何の気なしにThalysの予約内容をプリントした紙をバッグから取り出してみました。紙を広げた瞬間、顔面蒼白。そこに書かれている出発日は11月30日。今日は12月7日。私の予約した列車は、一週間前に出発していました...。日にちを一週間も間違えて予約するなんて、なんたる失態...。なんで今まで気づかなかったんだろう...。段取り屋の私としたことが...。詰んだ...。自分の不甲斐なさに打ちひしがれているうちにGare du Nord駅に到着。気持ちの整理がつかないまま、電車を降ります。

もう起こってしまったことは仕方がない。とりあえず、だめもとで日付変更できないか交渉してみよう。できなければ、チケットを買い直そう。お金で解決できることは、お金で解決すればいい。そうだ、お金で解決すればいいんだ!!と、無職のくせに金に糸目はつけぬ精神で自分を奮い立たせ、Thalysのホームを目指しました。

しかしこの駅がばかみたいに大きく複雑で、案内のサインに従って歩いているのに全然Thalysのホームに着きません。あっちこっち行ったり来たりしているうちにどんどん時間が過ぎていきます。合っているのかいないのか、不安になりつつも、サインを信じて進んで行くうちに、気付いたら改札を出ていました。あれ?改札出たらまずくね?と思ったときには時すでに遅し。出ちゃってますから、完全に。おじさまが恵んでくれたあの貴重なチケットをこんなかたちで無駄にしてしまうとはなんたる不覚...涙 いや、サインが悪いんだよわかりにくいサインが!激おこ

チケットを買い直そうにも、私が出てしまった改札には窓口も券売機もなく、焦りと怒りと悲しみとその他諸々の感情で私の心は大混乱。だからって立ち止まっている暇はなく、とりあえず、他の改札に向かおうと向きを変えました。その瞬間、若いお兄ちゃんがビジネスマンの後にぴったりついて、するっと改札を通って行くではありませんか!そうか、これだ。私に残された道はこれしかない。やるしかない。私だって、できる...!!今までの人生で一度だって考えたことのないキセル乗車を、なぜかパリで、なぜかお兄ちゃんに感化されて、一大決心してしまいました。むしろ前向きですらあります。完全に自分を見失っていました。

さっきのお兄ちゃんの動きを思い出し、イメトレしながら人を待ちます。私はスーツケースがあるので、まずスーツケースを先に通し、それから自分が通る作戦を考えました。決心したものの、やはり少し良心の呵責があり、数人見送ってからいざ決行。中年のおばさまの後ろからすっとスーツケースを滑らせると、見事通過!やった!いける!続いて私も!と思った瞬間、両側からフラップドアがバンッと勢いよく閉まり、スーツケースのハンドルを握っていた左腕が挟まってしまいました。パリの改札は、日本と違ってフラップドアの高さが膝から頭くらいまであります。挟まった左腕から肩を入れ、なんとか突破できないか試みましたが、ドアはびくともしません。人が挟まってるのになんで開かないの!不良品なんじゃないの!?メイドインジャパンに取り替えろ!と憤りましたが、実は挟まっているのではなく、もともと15センチくらい隙間があるつくりで、傍目には完全に閉まってるフラップドアに無理やり肩をぐりぐり入れようとしてる人でしかないという事実。

そのことに気づき、泣く泣くスーツケースから左手を離し、後ろから来る定期券を持ったお姉さんに声をかけました。「すみません、そこタップしてください!」なんて図々しいお願い。よくこんなこと言えたなと思います。お姉さんはフランス語で何事か言いながらタップしてくれましたが、ドアは閉まったまま。おかしいなあと思ってお姉さんを振り返ると、手招きしながら「こっちへ来なさい」と言っているようでした。「でも向こうにスーツケースが...」とグダグダ言う私に、「いいから来なさい!うまくやるから!」とお姉さん。※フランス語なので本当はなんて言ってるかわかりません。

お姉さんの言う通り、数歩下がって改札前に戻ると、お姉さんはすぐ隣の改札の前に立ちました。そして、後ろにいる私を振り返り「いくよ?」とアイコンタクトをとった後、定期券をタップ!素早く入っていくお姉さんに覆い被さるようにぴったりくっついて行く私。私の背後で勢い良く閉まるドア。見事な連携プレイで今度は成功です!やれやれ...という表情で先を急ぐお姉さんの背中に向かって、「Merci! Merici beaucooouuuupp!」と本日2回目の感謝の雄叫びをしました。お姉さん、本当に心からありがとう。そして、通勤途中にキセルの片棒を担がせてしまって申し訳ありませんでした...涙涙

全身が心臓状態のまま、隣の改札で生き別れていたスーツケースをピックアップし、今度こそThalysのホームへ向かいます。さっきの迷子が嘘のようにすんなりホームを見つけました。

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窓口で予約用紙を見せ「日付を間違えて購入したんですが、今日の同じ列車に変更できますか?」と質問すると、「えっと、この日付はもう過ぎてるから無理ですね」と一蹴されました。やっぱりそうか、そうだよね。でも諦めきれず、悲しげな表情で「この日乗ってないんです...。だから変更できませんか...?」と情に訴える作戦で食い下がってみましたが、「未来のチケットは変更できるけど、過去のチケットは変更できないんですよ、申し訳ないけど。チケットはあそこの券売機で買えるから買い直してください。今買えば8時の列車に間に合いますよ」とお姉さん。うん、そうだよね。「わかりました。ありがとうございます」と言って、窓口の裏手側にある券売機に向かいました。仕方ない。チケット買おう。お金で解決しよう。

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券売機で英語を選び、進んでいくと料金プランを選択する画面が出ました。しかし、通常料金の表示がなく「YOUTH」か「SENIOR」しか選択肢がありません。「YOUTH」とはユース料金のことで、12歳〜26歳までの人を対象にしています。ヨーロッパの国際列車をお得に利用できるとても良い制度なのですが、残念ながら私はオーバーエイジ。おかしいなと思い、前の画面に戻ってもう一度やり直しました。そして、再度料金プランを選択する画面になると、また「YOUTH」or「SENIOR」の二択。んー、ということは私はユースということなのかなあ、シニアではないし、絶対に!と思い、迷いながらも「YOUTH」を選択。そして、そのあと表示された料金にびっくり。私が予約購入していたチケットより20ユーロも安いではありませんか!なんだ〜こんなことなら予約せずに最初から現地で買えばよかった〜。当日券の方がお得ってどういうこと〜!と機械にツッコミながら、クレジットカードで無事購入。予定外の出費になったけど、思っていたより安かったので少し得した気分でした。

チケットを購入すると、時刻は7時50分。ホームにいた人たちが次々と列車に乗り込んでいきます。私もみんなに続いて入りました。ラグジュアリーで未来的なデザインの車内は、快適そうでテンションが上がりました。

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自分の席に着いた瞬間、強張っていた身体から一気に力が抜け、魂までどこかに飛んで行くんじゃないかと思うほど気が抜けました。ホテルを出てからまだ1時間しか経ってないのに、いろんなことが起こって心も身体もクタクタです。同時に、急にお腹が空いてきて、ラデュレで買ったパンを無心で食べました。パンの味を全く覚えていない背景には、こんな事情があったわけです。

出発してしばらくすると、車掌さんがチケットの確認にきました。この頃にはだいぶ心の平穏を取り戻しており、今日は雪ですね〜寒いですね〜なんて軽く世間話をしてにこやかに終了。車掌さんの眼差しに、心なしか父性を感じました。

車掌さんから返されたチケットをなんとなく見つめていると、なんと片隅に12〜26歳の表記が...!!やっぱり「YOUTH」はユース料金のことだったようです...。そりゃ事前に購入したチケットよりも安いはずです。ここまでグダグダなんて...と自分にショックを受けつつも、チケット確認の後に気付いてよかったと心底思いました。もし、車掌さんが来る前に気付いていたら、狼狽えて怪しまれるような行動を取っていたと思います。

しかし、おかしなことが一点。ユース料金で購入してる人には、チケット確認のときに年齢チェックのためIDの提出を求めるはず。車掌さん、私にパスポート出せって言わなかったってことは、疑う余地もないほどユースに見えたってこと?すっぴんなのに?すっぴんだから?あの父性を感じた眼差しは、私が子供に見えたから?いずれにしても、アジア人はこういうときお得だと思いました。

それから1時間ほどで見えてきた広大な農場。そして、日の出。これからのドイツの旅がどうか無事でありますように...と両手を合わせずにはいられませんでした。

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パリを出発してから約3時間、ケルンに到着しました。Thalysの座席は、見た目通りゆったりとしていて座り心地も良く、とても快適だったので3時間があっという間に感じました。降りた瞬間、空気が冷たい!パリなんて比じゃないくらい寒い!この突き刺すような寒さ、嫌いじゃないけど、体調管理をきちんとしなければ...。

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ゴミ箱はフランス語、英語、ドイツ語、スペイン語の4ヶ国語で表記。国際列車のホームならではです。

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てんやわんやのスタートとなったケルンへの旅。これからケルン大聖堂に向かいます。