sugar’s diary

主に食べてばかりの日々と旅の記録

ヨーロッパ旅行8日目 パリ編⑫サント・シャペルとパリの裁判所

サント・シャペルへは歩いて向かいます。この数日間ずっと歩いているので、大きい道はだいたい覚えました。

ボナパルト通りをセーヌ川に向かって歩いて行き、さらにセーヌ川に沿ってシテ島方面に少し歩くとポンデバザールが見えてきました。欄干の金網にはたくさんの南京錠が。恋人たちの願いが込められているのでしょう。幸せでいいですね。当時独り身の私は完全スルーを決め込みましたが、とりあえず一枚だけ撮っておきました。他人の幸せを写真に収めている場合じゃないんだけどさ...とやさぐれながら。昨年撤去されてしまったようなので、今となっては貴重な一枚です。

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シテ島に渡り、スクショしたgoogle mapを頼りに歩いて行くと、サント・シャペルらしき建物が見えてきました。立派な白亜の建物で、物々しいほど柵に囲まれていて思ったよりも大きい。でも、なんとなく違う空気が漂っています。観光客っぽい人もいません。とりあえず建物沿いに歩いて行くと、柵に「Palais de Justice」の看板が!そう、裁判所でした。ふと柵の内側を見ると、高そうな帽子&コートを着たジェントルマンが、書類を小脇に抱えて外の階段を降りてきました。弁護士さんでしょう。大学時代、よく裁判を傍聴しに行ってたんですが、大手町降りるとわかるんですよね、弁護士さんとか良いお洋服着てるから。キリッとしていて憧れたもんです。

よくあたりを見回すと、テレビの中継車らしき車と記者さんが数人いました。そして建物の側には青いトラックが並んでいます。見るからに警察車両ですが、後で調べたら「Gendarmerie」は国家憲兵隊という意味でした。

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もう一度マップを確認し、裁判所をぐるりと回って反対側に行くと、裁判所の正門に到着。え、どこなのサント・シャペル!このままじゃ私、裁判所入っちゃうんだけど!このときは、裁判所の敷地内にサント・シャペルがあることを知らず、入口が見つからなくてしばしイライラうろうろしました。最終的にその辺の人に聞いて入ることができましたが。もう地図難しい...。

入場料8ユーロ程を支払い、手荷物検査を終えて中に入り、狭い螺旋階段を上って2階の礼拝堂の扉を開けると圧巻のステンドグラス。これが、パリ最古のステンドグラスです。

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そんなに大きな空間ではないのですが、天井が高くて音がよく響き神聖な雰囲気です。この雰囲気とステンドグラスの美しさに魅了されたせいか、周りの観光客も静かにただただステンドグラスを見上げていました。

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雲の動きや太陽の向きが変わることで、ステンドグラスの色味や柄の見え方が変わっていきます。一部改修工事中で全貌は見られませんでしたが、公開されている部分だけでも十分美しさは伝わりました。

目線を下げると、見事な扉の細工や床のテキスタイルを楽しめます。美しいデザインは、古くならないどころかモダンですらあります。

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みんなステンドグラスが目当てなのでほとんどの人が素通りしてましたが、入ってすぐにあるスペースも必見です。この青地にゴールドのクロス柄の天井に朱い柱の組み合わせが素敵でした。

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約1時間ほど堪能して、教会を出ました。教会を出ると、ちょっとした冒険心から出口とは反対方向に歩いてみました(良い大人は真似しちゃいけません)。小道を曲がると、憲兵たち数人が一服していました。裁判所の警備をしている人たちなのでしょう。まずい、よりによって憲兵に見つかってしまった...!と結構焦りましたが、彼らはにこやかです。というか、私のことなんて気にせず談笑しています。落ち着いて、私ここに来たくて来たんです迷い込んだわけじゃないんですなんなら関係者です感を当社比1000%増で醸し出しながら歩いて行くと、ちょうど休憩時間が終わるタイミングだったのか、憲兵たちは散り散りにそれぞれの持ち場に戻って行き、私とすれ違った2人に至っては「Hello!」と声までかけてくれました。やった!関係者だと思われた!(絶対ない)

そして、本当に裁判所の職員らしき人が近くの扉から中に入って行ったので、私もその人に続いて中に入ってみました。え、お前も来んの?とばかりに振り返られましたけど、憲兵に関係者認定されてるので(妄想)、自信を持って堂々と入りました。

中はとても広く、法廷が何部屋もありました。そして、なんだか賑やか。日本の裁判所は法廷の外であっても私語しちゃいけない雰囲気ですが、こちらは結構フランクなんだなあと思っていると、人だかりが見えてきました。みんなローブを着て大きな扉の前に集まっています。近くにいた男性に「何が始まるんですか?」と聞くと「英語でなんて言うかわからないんだけど、司法の職に就く人たちは最初に誓いの儀式をするんだ。これからこのホールの中でその儀式が始まるんだよ」と教えてくれました。つまり、ローブを着ている人たちはいわゆる司法修習生で、今日が卒業式であり内定式というわけです。教えてくれた彼は弁護士で、お友達のお祝いに駆けつけているとのことでした。親御さんもたくさんいらっしゃっており、修習生たちも嬉しそうに談笑していたからワイワイしていたんですね。若者たちの門出に偶然遭遇できて、なんだか晴れやかな気持ちになりました。

帰りは裁判所の正門からまたしても堂々たる闊歩で出て行き、次の目的地、ノートルダム大聖堂に向かいます。私、この旅行でだいぶ度胸がついてきました。